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2017年4月発行の、これを書いてる現時点では最新の、藤田千秋さんの時短パンの本。
あまりに写真の印象が似てるから河出書房から2冊めが出たのかと思ってたんですけどよく見たら日東書院から出た本でした(・x・)
最初に結論。ちがうのは出版社だけ
タイトルがそうなので見ればわかるだろって言われそうですが(笑)
今度の本はバゲット(の形に成形して焼くパン)をセンターに持ってきてます。
といっても、1冊めの「ボウルひとつでこねないパン」
も基本レシピはバゲットでした。
そして、2冊めの初心者向け「はじめてのこねないパン」でも、基本レシピでこそありませんでしたが中盤で1項目立ててバゲットの作り方がどーんと載ってます。
もともと、藤田さんのパン生地はリーンなテイストで、ロールパン惣菜パン系よりはむしろフランスパン系です。
リーンな(lean)、というのは、フランスパンによく使われる形容詞で、辞書で引くと「脂肪が少ない」と出てきます。
が、わざわざ横文字のまんま使ってるように日本語にするとひとことでぴったりニュアンスが表せる言葉がないんですよね。
バターや砂糖を多めに使ってる、ブリオッシュとかバターロールみたいなのがリッチなパン、それに対して、油分が少なく甘さも控えめで口当たりのかるいパンがリーンなパンです。
簡単に言うとほんとに、フランスパン、とくにバゲットです(笑)
できればスーパーのパンコーナーで売ってるビニール袋入りのじゃなく、スーパーでも大きめのとこなら入ってるであろう、パン屋さんの、お店で焼いてるフランスパンと、極端なところで、菓子パンの分類になっちゃってますがたとえば私の大好物、パスコの十勝バタースティック
を比べてみてください。
バタースティックがリッチ、フランスパンがリーンです。
牛乳がリッチなら牛乳から脂肪分を除いたスキムミルクがリーンです。
時短パンでいうと、吉永麻衣子さんの冷蔵庫作り置きシリーズのパン、とくに甘生地がリッチ、藤田さんのレシピがリーンです。
なので、藤田さんのパンの本がフランスパン系が中心になるのは当然というか必然なんですが、読む側からすると
まったく新味がない
と感じられてしまいます(´・ω・`)
この本も、前の2冊(ほんとは3冊あるみたいですが私まだ2冊しかゲットできてないので)と同じように、分割しないで大きく焼くカンパーニュ風丸パンも、型に入れて焼く食パン型のパンも、ねじって丸にするねじりパンもブリオッシュも、全部載ってます。
順番がちがうだけです。
あと出版社。
むしろ、前2冊はそれにさらにプラスでソーダブレッドとかスコーン、マフィン、パンケーキとか、私は掲載には懐疑的ですがパンに合う料理とかディップとか載ってて、バラエティ豊富な印象があります。
ページ数の問題かなと思いきや、「はじめてのこねないパン」よりはページは少ないですが「こねずにできる本格パン」より2折(1折かな)16ページ多いので、まあ、これは、本のコンセプト、編集方針の違いでしょう。
しかし、出す順番としては正直、逆じゃないですかね(・x・)
いろいろ取り揃えた本を数冊出したあとで、そこに内容を増やすならまだしも逆に少しへずった新刊を出しても「またこれ?(・x・)」にしか感じられないと思うんですけど。
すいません、私藤田さんのこのレシピけっこう好きなので、あんまり悪く見えるように言いたくないんですが
ほんとにぶっちゃけ。
ほめるところがみつかりません(・x・)
ほんとすいません(>_<) マジで、悪く言いたくはないんだよ!!!!!
内容はやや玄人向けなので、
何度かはパンを作ったことがあっておおよそのことは把握できていて、時間はかかってもいいから手間をかけずにフランスパンが作りたくてほかの情報にはほぼ興味がない
人はこの本でいいかもしれません。
と書いたあとで内容紹介
いつも思うんですが、藤田さんの本は写真がいいですよね。
すごくおいしそうw
さて、この本には、過去の本にあった時間割がありません。
主張したいのは、「こねなくてもバゲットは作れる」というその1点のみのようです。
逆に、「バゲットを作る」ことに重きを置いてるからか、製造工程の写真がとても細かいです(そのぶん写真も小さいけど)。
おそらくなかなかみんなじょうずにできない(私も挑戦してイマイチだったことがありますがw)クープの入れ方をすごく丁寧に説明してあって、おー(・∀・)ってなりました。
レシピじたいは、前回の2015年の本からさらにブラッシュアップが進んだらしく、
水は110gに戻った一方で、砂糖塩油の量が大幅に減ってます。
5g→3gって、4割ですよ(・x・)
水の110→105→110の5gとは比べ物にならない差ですよね。
いかにリーンに、でも手軽に作れる限度内で塩砂糖油を減らせるか、限界に挑戦してるのかもしれません。
あと、パンを焼く温度が210度から220度になってます。
まあ、ここは、うちのミニオーブンは10度単位の設定ができないのでちがいはわかりませんが。
そして相変わらずアレンジばっかりですが、メインのレシピ(よく見ると材料は同じで成形方法が違うだけのものがほとんどですが)は
- バゲット
- エピ
- カンパーニュ
- 食パン
- ねじねじパン
- ブリオッシュ
の大きく分けて6種。ちらっとグリッシーニの写真が載ってたりもしますが、「こんなのも作れます」とあるだけで作り方はありません。
ただし、生地でいうとバゲットからねじねじパンまでは、さつまいもを入れるとかで生地も甘めにしたいらしいものがちょっぴり砂糖の量がちがうぐらいでベースの配合は全部いっしょ。ブリオッシュだけが別のレシピで、つまり、2種類です。
あとは、生地にいろんなものを入れたり、水のかわりにワインを使って生地が赤紫だったりするパンの写真集です。
ぷち考察
ほんとに、私は決して藤田さんのパンはきらいじゃないんですが。
この本ほめるところもおすすめポイントも見つかりません(´・ω・`)
数年前の本はもうせいぜいが売れ残りが棚差しで1冊あるかどうか、もちろん平台にはおいてもらえないし追加発注もない、追加納品も受けてはもらえないから、時短パン・手間なしパンじたいはそこそこ人気はあるはずだから新刊出せば新刊として数日は平積みとかしてもらえるだろうし新しい本出すかなー(・x・)
ぐらいの感じで出された本とかだったりするんじゃないのかなと邪推してみたり。
だから出版社も違うのかなー、とか。
ほんとに私の邪推でしかありませんが。
藤田さんは、どの本も中身がほぼ同じで、レシピのg数でさえほとんど変わらない。
悪くいうと引き出しが少ないんですが、つまりそれって裏を返すと商売っけがなくて誠実だとも言えると思うんですよね。
ちょうどこの本を見つけた時、吉永麻衣子さんの新刊が発売直前で。
今度は切りっぱなしパンかー、あの手この手でよくやるなあ、と思ったんですよね。
吉永さんは最初の(厳密には1冊めではないですが)どでかパンのあと、がらっとレシピをかえた、パン・・・と言い切るのには微妙に疑問の残るスティックパン、次いでやや本格的だけど手間はかからない冷蔵発酵パンと本を出すたびに新しい切り口を出してきていて、次の本はどうやら基本のレシピは冷蔵庫発酵パンと同じで、その中で紹介されてた切りっぱなしパンをメインに持ってきたようで、あ、さすがにもうネタが尽きたか、と思ったんですが、それでも「計量から冷蔵庫まで全部1つの容器で完結」という、今までの本にはなかった視点を入れてきています。
この人はつまり逆に、すごい商売っ気があるわけです。
たんに時間を経ていろいろ開発したのかもしれないんですが、必ず何かしら、新しい本には新しい主張があります。
だからぱっと見、目新しい。
じつはスティックパン以降は、ほとんどレシピは違わないんですが、毎度切り口がちがう。
うまーく、小出しにしてると思うんですよね。
藤田さんは逆で、自分が提供できるものを全部、1冊の本にしてしまってるんです、たぶん。
1冊におさめられちゃう内容、とも言えちゃいますし、その1冊の中でもほとんどのページが生地にオリーブ入れたり黒豆入れたりワイン入れたりさつまいも入れたりしてるだけの、基本のパンのアレンジばっかりですから、やっぱり引き出しがぜんぜんなさそうに見えるんですが。
じつは読むというか買う側としては、1冊で全部網羅されているというのは、何度も何冊にわけて買わなくてもいいわけで、それはそれである意味親切だと思うのです。
レシピはほんとに意外なほど簡単でおいしいので、ぜひ一度お試しを。
データ
単行本(ソフトカバー): 96ページ
出版社: 日東書院本社 (2017/3/31)
言語: 日本語
ISBN-10: 452802151X
ISBN-13: 978-4528021518
発売日: 2017/3/31