ところでこいつを見てくれ。こいつをどう思う?
切り口がうねってるのは置いておくとして。
自分で言うのもナンですが、そこそこちゃんとしたものに仕上がったと思うんです。
面倒なことなく簡単においしい自作パンをめざすシリーズ。
今回は藤田千秋さんというかたの本です。
題名は「ボウルひとつで こねずにできる本格パン」
この本のレシピをもとに焼いたパンが↑の写真です。
第一印象「めんどくさい」
「え。めんどくさい(・へ・)」
尼のサジェストで見つけて、いつものように図書館で借りてみたこの本。
この手の本はたいていまず、最初に基本のレシピが載ってますが。
手順にざくっと目を通した最初のひとことが↑でした。
だってね、
水は夏は水道水の温度春秋は25~30度冬は35度
もうこの1行で(゚Д゚)ハァ?です。
さらに見ていくと、
オーブンに発酵機能がついていない場合は、
熱湯を入れたマグカップとともに大きめのビニール袋に入れて
お湯がさめてきたら次々入れ替える
(゚Д゚)ハァ?
手間かけない本なんだよね?
なんで水の温度はからないといけないのってかうち水の温度はかる温度計とかないんだけど(・~・)
さらに手順を追っていくと、
- 一次発酵120分
- ガス抜き
- 一次発酵後半戦60分
- 成形
- 仕上げ発酵(2次発酵とは言わないらしい)45分
- 焼成
ふつうに作る場合:4時間15分
(゚Д゚)
ねえ、それ手間かかるって言わないの????????(゚Д゚)
「手間がかからない」の定義
「手間がかからないパン」を求めて、それを売りにしてそうな本をあれこれ読むようになって、
気がついたことがあります。
「手間がかからない」の定義って2種類あるんですよね。
尼でレビューを見ててもそう。
読者は見事に2極に別れてます。
何かというと、
日常的にパンを作ってて、時短や、より簡易な作り方を求めてる人
と
パン作るのっていろいろめんどくさくて手間かかってたいへんなんでしょ?
敷居高いよねえ。
手間かかんないんなら作ってもいいんだけど。
と思ってる人。
私は後者なんですが、私にとっての「手間のかからないパン作り」は、こう、
買ってきたミックス粉を卵と牛乳解いたやつにどばっと注いで型に入れて焼いたらはいケーキできあがり
ぐらいのイージーさ。
対して、ふだんからパンを作ってる人たちからすると、手間がかからない、というのは
全力でこね台に叩きつけ続けたり
手や腕や腰が痛くなるほどえんえんと何十分もこね続けたり
そういうことをしなくていい作り方
のようなのです。
たしかに、パンを作るってそういうものという印象があります。
あるんだからじっさいそうなんでしょう。
そのたいへんさを知ってる人には、
まぜるだけ
5分こねればok!
まぜてこねて冷蔵庫に入れるまでが全部で5分!
というのは、
画期的にもほどがある(゚Д゚)!
という製法になるようなのです。
が。
そもそもそういう苦労をしたくないからパン作りに手を出してなかった身からすると、
たとえ1分だろうが、こねる必要があったり、
温度の細かい指定があったり
そういうのはエェーー(´Д`;) ってなっちゃうのですよね。
言葉より行動だ!(CV:新垣樽助)
そんなわけで、最初の感想は「これは私とは求める方向のちがう本だ」でした。
が。
ここしばらく、パンを作っていなくて。
なぜかといって、また手袋生活(詳細はこちら。旧ブログのエントリ)になったので、こねるのがいやというかめんどくさいんです(・・
そのために毎度使い捨てポリ手袋出してくるのが(・x・)
かといって、ポリ袋パンは天然酵母作りと管理がたいへん。
ていうか、起こしてある天然酵母がないので今から作るとしても3日後になっちゃいます。
ソウジャナイ。
さりとて、どでかパンやスティックパンよりは、もっと「パン」なものがいい。
じゃあ、これ、いっぺん試してみようか(・・)
ということで、せっかく借りたことでもありますし、一度焼いてみることにしました。
しかし、うちには料理用の温度計とかありません。
35度ってことはだいたい人肌ってことでいいかしら(・・
ちょっとぐらいアバウトでもよかろうってことで、
お湯をわかす途中で火をとめて、
お湯をはかって、
計量カップを手で包んでみて
だいたい私の体温と同じかなってぐらいになるまで待つ(・x・)
それでもちょっと指定の温度よりは高いですが、寒い台所でボウルに入れてもたもたしてたら1、2度はきっと下がる(・x・)
なんとなくもっとさがりそうな気もするけど、まあいいよね(・x・)
お湯をさましながら粉と砂糖と塩とイーストをはかって、
砂糖と塩を入れたボウルにお湯をIN、続けてそこにイーストをIN。
浮いてるイーストが沈むまで待つ間に油を計って投入してじゃこじゃこっと混ぜて
(だって「混ぜる」としか書いてなかったし加減はてきとー)
そこに強力粉をぶちこんで、
ひとかたまりになるまで、へらで混ぜる。
ここらで、思いはじめたことがありました。
これ、けっこう簡単じゃね・・・?(゚Д゚*)
何より面倒に思えたお湯の温度を適当にやっちゃったこともあるのかもしれませんが。
えぇ~~~めんどくさーーー って思ったのどこいった(゚Д゚#)
1分もしないでひとかたまりになったよ(・・
さて、ここでめんどくさい部分パート2。
2時間かけて発酵
そんなに待つのやだった上に「室温」は25度という指定。
いま真冬です。
エアコンの設定は20度です。
温度計はありません。
実際の室温?シラネーヨ(゚Д゚#)
ので、「少し急ぎたい場合」を参考に、オーブンの発酵機能を使いました。
もうこのあたりでかなりアレンジ入ってます。
うちのオーブン、簡易オーブンでちゃんとしたオーブンじゃないからね(;・∀・)
常温120分、オーブンの発行機能を使うなら90分。
うちの簡易オーブンの発酵モードは最大40分。
すくなくとも25度よりはたぶんかなりあったかくなってそうだったので、
40分終わったとこでとりあえずあと40分タイマーかけました。
結果。
ぶよーんぶよーんo((・・o))((o・・))o
以下、本文より。
過発酵に注意
表面がぶよぶよにふくらみ、
気泡がたくさんできていたら
過発酵。この状態になる前に
ガス抜きする。
まちがいなく過発酵ですね!!(・∀・)
で、そうなる前にって、なっちゃったらどうすりゃいいのよ(;・∀・)
書いてない(苦笑)
まあいいやほかの本ではべたべたするなら粉を足して、最後はとにかく焼いちゃえ!
ってなってたし。
見なかったことにして次の作業にいこう。
ガス抜き。
ここでも手は使わずに、
へらでボウルから生地をはがして、ひとまとまりになるまで混ぜる。
これも1分ぐらい。
えっなんか簡単(´∀`*)
再度、常温で60分発酵。
だから今って真冬でね、エアコンの設定はry
再び発酵機能モードのお世話に。今回は20分加熱して20分放置。
ガス抜きが終わって
こんなだった生地が、
↓
こんな感じに。
そんでこれはバゲットレシピだったので本のまねして細長く成形して
つまんでとじたところ。
これをくるんとひっくりかえして上下さかさにして、
クープってやつを入れてみました!
初クープだよ!(>ω<)
今まで、ほかの本にはカミソリを使ってすっと引く、とかなんか高尚そうなことが書いてあったからどうも手が出せなかったんですが。
こないだ買ったピザカッターでいいかな(・・ と思って、すすっと。
なんかちょっと浅そうですが。
そして仕上げ発酵して、焼成。
今度はオーブンの発酵機能推奨でしたが。
発酵完了の10分前ぐらいになったらクープを入れて、残りの発酵を続ける。
完了10分前にはオーブンを予熱しよう
あの。
オーブン使ってるから予熱できないんですけど?(・x・)
まあいいや(´Д`;)
トースターオーブンのとなりに置いてある炊飯器にまだごはんが入ってたので、炊飯器は保温中。
その上にとりあえず成形の終わった生地を置いた天板を置いて、予熱。かーらーの焼成。
案の定、クープがちょっと浅いですな。
バゲット用のレシピなのでほんとはもうちょっとこんがりフランスパン風になるべきなんでしょうが(笑)
うちのオーブンは上火がかなり強くてちょっと高さの出たものは電熱に密着しちゃって黒こげになったりするので(;・∀・)
やや警戒して少し低めの温度、途中でホイルをかぶせてやや短めに焼成。
でも、なんかこれ、ちょっと焼きムラあるけどすごくちゃんとしたパンじゃね?
切ってみたのが冒頭の写真。
気泡はフランスパンにしては小さめだけど、なんかふつうに、ソフトフランスとか名前つけて売ってるパンみたいだよ?(・∀・)
試食してみたらこれはいける!(・∀・)
あっちゅーまに8割方むさぼってしまいました(笑)
そして、手作りパンで確認しないといけない大事なポイント。
翌日まで置いておいても味が落ちないかどうか。
ひと晩というかほぼ1日おいて、翌日のブランチに食べてみましたが、
まったく味は落ちてませんでした(・∀・)
案外いけるぞこの製法ヽ(>∀<)ノ
この製法のいいところとイマイチなところ
さて、それでは焼いてみて思ったことをざっくりまとめてみます。
いいところ
- レシピに使う粉の総量が少ない=早く食べ終われる
- 思った以上に、成形まで一切生地をさわらないのは快適だし簡単で楽ちん(・∀・)
- 放置時間を気にしないといけないけど、作業じたいはどの工程も短くてほぼすぐ終わる
- うまかった(・∀・)
- バターを使う場合は有塩か無塩かちゃんと書いてあった ←初心者にはだいじ
- 指定というか使用を想定してる強力粉が日清カメリア(・∀・)
最後のやつどういうことかと言いますと、パンの本はたいてい、
パン焼き専用国産(クソお高い)粉
が、
指定というか推奨というか、されてます。
そして、
たぶんおいしいんでしょう、実際。
レビューとかにも
「◯◯使ってみたら今までのパンはなんだったのってくらいおいしかった!」とか
書いてあったりします。
クックパッドのパンレシピなんかも、のきなみ
「私は◯◯使ってます」とか「強力粉(◯◯◯)」とか
ブランドが指定されてます。
パンを自作するならそれが当然でしょ?!
そもそもパンを手作りするって家族や子供に無添加のものを食べさせたいからやることでしょ?
そのへんで売ってるパンなんかみんな添加物まみれで毒なんだから!!
なのに輸入の小麦粉使うとか頭おかしいんじゃないの?!
みたいなちょっとヒステリックな同調圧力さえ感じます。
でも、私そこまでパン作りにイノチかけてないしね(;・∀・)
そもそもパンを自分で作ろうと思ったのは、
食べ切るのに困らない量を
ほしい時に
いちいち買いに行かなくても
すぐ手に入って食べられるように
なので(・・)
意識の高い奥さまお母さまたちとはちょっとスタンスがちがいます。
なので、ドンキで、さすがに1kg80円とかのはちょっとこわいので買いませんけど、
並んでる中でもやや安めの粉を買います。
ここで問題になるのは、
国産と外国産で、
グルテンの質がちがうんだったかなんだったかで、
必要な水分が違う(・x・)
ところ。
じっさい、たしかに国産小麦指定の梶晶子さんや吉永麻衣子さんの本のレシピで作ったパンは、
おいしいけどもっちり歯ごたえ強めです。
たぶん、指定された小麦粉じゃないからでしょう。
梶晶子さんの本だと
「輸入小麦の強力粉を使う場合は水を大さじ1強余分に」
とすみっこのほうに小さく書いてあります。
なんか、0,1gはかれるはかりを使って、水分も計量カップのめもりじゃなくてはかりではかりましょうとかゆってるわりに、
「大さじ1強」ってなんですかそのアバウトな。
しかも粉とか砂糖なら山盛りとかにして「強」にできるけど
液体を大さじ1強ってどうすれば(;・∀・)
もちろん、読者がどんな強力粉使ってるかわからないわけだし
明確に「大さじ1」って書いてそれじゃ足りない粉だったり多すぎる粉だったりしたらまたクレームもくると思うので、
そこは責任もてない部分なんでしょうね。
脱線しましたが、
そんなわけで、まず基本に使う粉がたいていのスーパーで売ってる
日清カメリア
だというのはじつはけっこう私てきにポイントが高いです。
日清フーズ強力小麦粉カメリア 1kg02P01Jun14 |
あっ画像見たらカメリ「ヤ」だった(・・)
あれっ商品名はカメリ「ア」になってる。
どっちだwwww
あと、ほんとに、
仕込みが簡単で時間がかからないのが完全に予想外で驚きでした。
とりあえずもう1回作ってみっか、と2回めを作った時、
朝ごはんの準備のついでにやったんですが。
お湯をわかしてお茶を入れるついでに計量カップにお湯をはかって、
お湯をさましながら、味噌汁をあっためつつ塩と砂糖とイーストをはかって、
味噌汁に生卵を落としたところで(MECをめざすために基本的に卵は入れる)
お湯がぬるくなったのでボウルに入れて、
イースト入れて油入れて混ぜて粉入れて混ぜてラップかけてオーブンの発酵モードにつっこむ
までが、卵が半熟に仕上がるまでの3分でした(・x・)
画期的。
気になったところ
さて、逆にちょっとここは・・・と思ったところ。
- 水温とか気温とか指定がとにかくいちいち細かい
- 冷蔵発酵もあるけど、基本は作りはじめたら焼成までフルセットで走破しないといけない
- 過発酵など失敗した時どうしたらいいのかが書いてない
と、やっぱり最初に感じたように、基本的に
ふだんパン作りをしてて、一般的な工程をやや面倒に感じてる人
を読者として想定してるんだなという印象。
そのぶん、初心者お断り感がちょっと漂ってるかも。
私も、ここまで何種類か「手間のかからない」を売りにしたパンを作ってなかったら、このパンには手を出さなかったと思います。
実際作ってみると、時間以外は案外簡単というか本の印象とは大幅に違って簡単だったので、ちょっと損しちゃってるような?
まあ、作者さんが初心者はついてこれる人だけでいいよと思ってるならそれはそれでいいと思いますが、初心者側の読者としては、あやうく良書をスルーするところだったのでもったいなかったです。
あ、ちなみに、
温度が多少てきとうでも、
過発酵になっちゃっても、
発酵の時間が終わった時にネトゲでPT中で成形できなくて1、2時間余分に放置しても(笑)
最後はとにかくオーブンにつっこんじゃえばなんとかなります(・x・)
もちろんこれも、まったくの初心者ではなくなりつつあるから言えることなんですが。
案外イージーでも適当でもなんとかなるよ!
そこんところもうちょっと各作者さん書いてあげるといいのになあ。
とくに、初心者へのパン作りの間口を広げたいタイプの作者さんの本は、
そうしてあげると読者もちょっと安心して取り掛かれると思うんだ(・∀・)
データ
発売日: 2012年01月
著者/編集: 藤田千秋
出版社: 河出書房新社
サイズ: 単行本
ページ数: 79p
ISBNコード: 9784309283005